解析・試験
Analysis / Testing
吹雪、雪崩など雪氷災害やその他の気象現象を起因とした災害に対し、より深く理解し、最適な対応策の検討を行うためには、調査データを基にした解析や予測、検証のための実験・試験が重要となります。データ解析や数値シミュレーション、実験・試験など、問題に対して適切な手法を提案し、実施いたします。

解析
対象地域の気象特性や雪氷現象の把握や予測、災害危険性の評価、設計条件の設定等を目的として、気象データ等の調査データを基にした解析、検討を行います。 目的に応じて適切な解析手法を検討し、解析結果の精度、信頼性の向上に努めます。

【目的】
  • 対象地域の気象特性、雪氷現象の把握
  • 災害危険性の評価
  • 対策検討のための設計条件の設定
  • 環境影響評価 etc…

数値シミュレーション
計画段階にある道路や鉄道、建築物での雪氷障害の評価や対策案の効果評価、実際の災害事例時の状況再現など、現地調査では評価できない事象、案件において、コンピューターを用いた数値シミュレーションは強力なツールとなります。 吹雪や雪崩などの雪氷現象や気象現象に合わせた数値シミュレーションを用いて、数値解析、評価を行います。また、案件やニーズに応じて、数値シミュレーションモデルの構築を行い、解析に活用します。

吹雪数値シミュレーション

吹雪数値シミュレーション

雪崩数値シミュレーション

雪崩数値シミュレーション

着雪シミュレーション

【シミュレーション】
  • 吹雪数値シミュレーション
  • 雪崩数値シミュレーション
  • その他雪氷、気象現象に関するシミュレーション

試験・実験
現地調査や評価できない建設前の道路・鉄道・建築物の周辺の雪氷現象や、現在の数値シミュレーション手法では解析が困難な複雑な現象の評価には、試験・実験が不可欠です。 吹雪風洞実験や実物・模型実験、暴露試験など、案件に応じ、最適な試験、実験を検討、実施いたします。

【手法】
  • 吹雪・風洞実験(吹雪、着雪)
  • 実物実験、模型実験(吹雪、雪崩、着雪等)
  • 暴露試験、低温室試験(吹雪、雪崩、着雪等) etc…

研究開発
Research and Development
グローバル化、IT化、少子高齢化等による社会変容や温暖化などの気候変動等により、我々を取り巻く状況や雪氷災害を含む気象災害は多様化、複雑化しています。このような社会、自然環境の変化に対応し、災害を減らすために、自然現象の把握、新たな災害予測、検知技術、対策の研究開発に努めます。

研究開発
雪氷分野の知識や技術を基礎として、雪氷現象の基礎的研究、社会や気候の変容により複雑化する雪氷災害を検知、予測する技術、災害を防止する技術の研究開発を進めます。また、お客様のニーズに合わせた研究開発も行います。
【主な内容】
  • 雪氷現象の基礎研究
  • 雪氷災害検知、予測技術の研究、開発
  • 雪氷現象の数値シミュレーション技術の開発、改良
  • 雪氷災害を防止する工法などの新技術の開発 etc…

システム開発
計測された気象データや気象庁より提供されるデータを基にして、気象情報の情報配信や気象値を基に雪氷現象、災害を推定する処理システムや表示システムの開発を行います。 ニーズに合わせ、対象とする雪氷現象、災害の検出、予測するための手法、アルゴリズムの検討開発も行います。
【主な内容】
  • 気象データの処理システムの開発
  • 雪氷現象、災害に関する予測、検知システムの開発
  • 気象、雪氷現象、災害に関するWeb表示システムの開発 etc…

検討・計画
Examination / Panning
現地で得られたデータや様々な情報を活用し、防災・防雪対策を進めるための検討や計画を行います。

ソフト防災

地区住民や企業が自助・共助のもとに計画する「地区防災計画」の作成や防災活動を支援します。また、災害時、人・物・情報等利用できる資源に限りがある状況下で、優先業務を特定し、業務の執行体制や対応手順、継続に必要な資源の確保等を定める「業務継続計画(BCP)」の策定支援を、行政・企業に対して行います。これら取り組みの成果を実効性あるものとするため、行政が作成するハザード情報を基に、行政や自治会が主催する、各種研修・図上訓練の企画・運営を行います。

これまでの想定を超える災害が増えている中、今後の防災のあり方を考え形作っていく上で、ソフト防災が大切になります。そのことを常に意識した計画作りや研修・訓練の企画運営を行います。

事業継続計画(BCP)の概念

ワークショップの企画・運営

【目的】
  • 地区防災計画の策定支援(自治会等のコミュニティーレベルの防災計画)
  • 業務継続計画(BCP)の策定支援(行政及び民間企業)
  • 各種研修・図上訓練の企画・運営  防災啓発
  • 防災教育プログラムの企画立案
  • 防災啓発・防災教育用の素材製作(CG及び現地映像、教材)
  • 各種ハザードマップの作成(多言語対応含む)

地吹雪対策検討

調査・計測の「気象調査」や「吹雪調査」で得られた、道路上あるいは道路予定地の気象データや吹雪に関する様々なデータを加工解析し、道路吹雪対策マニュアルを参照しながら、吹きだまりや視程障害の危険個所・危険ランクを明らかにします。その他、吹雪シミュレーションによる過去の地吹雪による交通事故や通行止め、立ち往生(車両滞留)、吹雪時の除雪作業の状況も加味して地吹雪対策箇所を抽出します。

地域によっては吹雪の規模が極端に大きい箇所がある、また道路の両側から吹雪が吹き付ける区間があるなど、道路に対する吹雪障害の実態は様々です。付近住民や除雪担当者の意見も参考にしながら、現地の吹雪状況をきめ細かく把握することが重要です。

地吹雪対策区間の抽出例

【目的】
  • 吹雪危険区間とその度合いの把握
  • 地吹雪対策箇所の抽出

雪崩対策検討

調査・計測の「気象調査」や「雪崩調査」で得られた、道路近傍斜面の気象データや積雪や雪崩に関する様々なデータを加工解析し、道路交通に対する雪崩の危険斜面やランクを明らかにします。その他、斜面の植生や勾配、雪崩発生区と道路の位置関係を考慮して雪崩対策範囲を抽出します。

雪崩は発生する年としない年があり、短期間の調査ではデータが不足し精度良い検討ができないことが多々あります。その場合には、雪崩シミュレーション(2次元フェルミーモデル、3次元的な広がりを再現可能なモデルなど)を活用した検討を行います。

雪崩危険斜面の検討例
【目的】
  • 雪崩の種別の判定(表層雪崩・全層雪崩)
  • 雪崩危険斜面の把握
  • 雪崩対策範囲の抽出

冬期道路管理検討

防雪対策施設といったハード対策が整備されるまでの間、また整備された後も、冬期の厳しい気象条件下では、安全な道路交通が確保できないケースが出てきます。現地の地吹雪や雪崩の現象の把握、過去の気象データとの関連性、道路維持管理作業の実態等を踏まえた、事前通行規制のあり方、基準や方法を検討します。

気象や地吹雪・雪崩の発生状況、要因は地域や路線によって異なります。その地域の実情をきちんと理解して検討することが重要です。

【目的】
  • 雪崩・地吹雪時の道路管理(通行規制)方法の検討
  • タイムラインで活用する雪害の指標の検討

設計
Design

調査や検討・計画の結果、道路や鉄道などの保全対象の安全確保のため必要とされた箇所に対して、防雪対策施設の設計を行います。

はじめに、現地状況や解析結果などを元に、最適な対策施設の種別やその形状、配置を検討します。構成部材や基礎などの安定度を検討した上で、図面作成、数量計算、概算工事費算出、施工計画を行い、施工に際して留意事項などと併せて成果とします。

地吹雪対策施設

地吹雪対策施設は、吹きだまり対策と視程障害対策を考慮して選定します。飛雪を対策施設付近に吹きだまりとして溜め道路を吹雪から守る工法(吹き止め柵、吹きだめ柵、防雪林)、強い風のエネルギ―を利用して道路上の雪を吹き飛ばす工法(吹き払い柵)、視程障害時にドライバーの道路線形認識を補助する視線誘導施設が有ります。

吹雪調査結果で現地状況をしっかり把握しなければ最適な工法は選定できないため、調査と設計の各担当者が十分な意思疎通を図り対応します。

吹き止め柵

吹き払い柵

道路防雪林
(併用防雪柵)

【設計対象】
  • 防雪柵(吹き止め柵、吹きだめ柵、吹き払い柵等)
  • 道路防雪林
  • 視線誘導施設
  • スノーシェルター

雪崩対策施設

雪崩対策施設は、設置する場所によって発生区対策、走路対策、堆積区対策に分けられます。発生区対策は斜面に設置して雪崩を起こさせないようにするもの、走路対策は雪崩の進行方向を変えたり雪崩の勢いを弱めるもの、堆積区対策は雪崩をせき止めるものです。発生区対策は吊柵やスノーネット、走路対策は誘導堤や枠組工、堆積区対策は雪崩防護柵や雪崩防護擁壁が有ります。

雪崩対策施設の設計に際しては、斜面の積雪状態や雪崩の実態把握が重要です。技術資料にある設計条件を現地調査結果に照らし合わせて丁寧に確認することも怠りません。

雪崩予防柵(吊柵)

雪崩予防柵(固定柵)

アーチカルバート
(道路下部を流下させる)

雪崩防護柵
(補強土壁)

【設計対象】
  • 雪崩予防柵(固定柵、吊柵、スノーネット)
  • 雪崩防護柵、雪崩防護擁壁
  • 減勢工、誘導工
  • スノーシェルター、カルバート
  • 雪庇防止版

その他

防雪対策施設は道路付帯施設として語られる場合が多いため、道路設計のノウハウも必要になります。当社では、道路設計やその他の付帯施設(排水施設や法面対策)設計も行っています。

調査・計測
Survey / Measurement
吹雪や雪崩、豪雪などの雪氷災害、その他の災害への対応策を検討するためには、現象の実態把握が必要不可欠です。また自然環境を評価し将来を予測するために現地調査は必要になります。基礎調査から現象や被災対象に応じた調査について最適な方法を提案し、現地調査や計測を行います。

気象調査

風向風速、気温、積雪深、降水量などの気象データを連続観測します。

適切な観測場所の選定や手配を行い、気象観測機器を設置します。得られたデータをクラウド上で管理し、また定期的に点検を行うことで、データ欠測を回避し精度向上に努めます。

冬期気象観測所の様子

気象計器の点検

【調査目的】
  • 吹雪対策や雪崩対策の必要性検討、対策施設の設計条件検討
  • 大型建築物の雪害検討、設計条件検討
  • 環境影響評価 etc…

吹雪調査

道路や鉄道の吹雪対策を検討するため、計画箇所や共用路線上の吹雪状況を、現地調査によって明らかにします。具体的には移動気象観測、気象観測による吹雪量や吹雪風向、風速分布の把握、視程計やビデオによる視程把握、実際の道路上の吹きだまり観測などを行います。 また吹雪現象の基礎的研究を目的として、SPCなどの吹雪量計を用いた飛雪流量観測、吹きだまり量観測を行います。

冬期間の吹雪調査は調査のタイミングが大事になります。タイミングを誤ると有効なデータを得ることができません。北海道をはじめ積雪寒冷地の冬期気象特性を把握し、気象予報士の判断も加味して最適なタイミングで調査を行います。

移動気象観測車

ビデオによる防雪柵の機能調査
(キルギス共和国山岳道路)

道路上の風速分布調査

道路上の吹きだまり調査

道路上の視程調査
(視程板による目視観測)

SPCや視程計による吹雪観測

【調査目的】
  • 吹雪の危険性と吹雪対策の必要性の検討
  • 防雪柵や防雪林の効果検証
  • 道路防災点検(地吹雪)
  • 吹雪メカニズムの研究 etc…

雪崩調査

道路や鉄道を雪崩から守るためには、斜面特性や斜面積雪の状況、実際発生した雪崩の痕跡などを現地調査によって明らかにする必要があります。

具体的には、無雪期の植生状況や雪崩に対して危険な斜面勾配の事前調査、冬期間の斜面上の積雪深分布(UAV技術を用いることもあります)、雪崩の前兆現象(グライド計による積雪のグライド、クラック、雪しわなど)の把握、弱層の検出を含めた斜面積雪の断面観測などを実施します。

実際の斜面で雪崩にフォーカスした調査を行うためには、積雪に関する基礎知識と積雪調査方法を持ち合わせていることはもちろん、雪崩に巻き込まれた時の対応方法の習得をした上で、万全の安全体制を用意することが重要になります。

UAV(ドローン)による積雪分布調査 (Sfm解析による)

クラックと雪しわ

雪崩発生直後のデブリの観測

雪崩発生直後のデブリの観測

雪崩予防柵の機能評価のための断面調査

【調査目的】
  • 雪崩の危険性と雪崩対策の必要性の検討
  • 雪崩対策工の効果検証
  • 道路防災点検(雪崩)
  • 雪崩メカニズムの研究 etc…

積雪調査

積雪調査は、「どのような性質の雪」が「どれだけの量」が存在するかを把握するために行われます。吹雪や雪崩、その他積雪現象の調査を行う際の基礎的な調査技術になります。

調査項目としては、定性的な項目として、雪質やその層構造、雪粒子の粒度などがあります。定量的な項目としては、密度、雪温、硬度、含水率、積雪深、積雪水量などがあります(このなかで水量の把握を目的として積雪水量を調査することをスノーサーベイと言います)。

基本的には、現地に出向き積雪を掘って断面を出した上で、観測者が様々な機器を用いて調査しますが、観測者によって観測値や判断がぶれ過ぎないように、定期的に実習などを行い技術力の精度維持に努めることが必要です。

積雪断面調査(雪温計測)の様子

全層密度計測の様子

【調査目的】
  • 吹雪調査や雪崩調査への応用
  • 積雪包蔵量調査(スノーサーベイ) etc…

植栽調査

防雪林等の植栽工法を適切に設計施工し、その効果を継続的に維持するためには植栽調査が不可欠です。植栽調査には、主に既存樹林生育状況調査と生育基盤調査があります。

既存樹林生育状況調査は、新たに植栽を検討する地域の既存林の樹種や樹形(風による変形など)などを調査します。また、管理対象の防雪林の生長段階に応じた生育状況も重要です。

生育基盤調査は、植栽する地盤(自然の地山、または造成盛土)が植栽に適しているか、適していない場合は改良方法を検討するための土壌調査です。植栽を検討する段階はもちろん、植栽後でも生育が芳しくない場合の原因究明の際にも行われます。

特に積雪寒冷地の防雪を目的とした樹林に対する植栽調査では、樹林に関する知識はもちろん、生育状況とそれに影響する各種要因の関係に関する知見が必須で、経験を積み重ねることが重要です。

既存防雪林の生育状況調査の様子

既存樹林調査の様子
(強風による風衝林形)

生育基盤調査の様子

生育不良木の根茎

【調査目的】
  • 防雪林の検討、詳細設計
  • 維持管理を目的とした防雪林台帳の作成
  • 防雪林の補植、更新等 etc…

雪氷・防災分野におけるニーズに即した調査

吹雪や雪崩以外にも、雪氷や気象の影響を評価するための調査が必要になることがあります。お客様のニーズを適切に把握して、積雪調査技術や様々な計測技術を組み合わせた調査方法を提案し問題解決に努めます。

モックアップ屋根を用いた降雨実験

キルギス国における防雪対策検討のための調査内容の確立と指導

斜張橋の斜材の積雪調査の様子

【具体例】
  • 降雨による屋根雪荷重の増加割合の把握
  • 下路橋や道路付帯施設などの着雪・冠雪調査
  • 発展途上国における防雪対策技術の構築 etc…

雪研ドローンスクール
雪研研究室
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